芸術の最高の現実は……

 ヴァルター・ベンヤミンが「ドイツ悲劇の根源」に、以下のようなことを書いています。

 ……表現主義と同様バロックも、本来の意味での芸術的習熟の時代ではなく、むしろ一心不乱な芸術的意欲の時代なのであるから、いわゆる凋落の時代においては、事情はいつでも同じである。芸術の最高の現実は、孤立した、完結した作品である。時にはしかし、完成した作品は、亜流によってしか達成されないことがある。こういう時代が芸術の「凋落」の時代であり、芸術の「意欲」の時代である。リーグルが、この術語を編み出したのが、ローマ帝国の最後の芸術についてであったのも、このためである。意欲によって達成できるのは形式だけであって、完成された一つの作品ではない。

 ※リーグル……アロイス・リーグル。1858〜1905、ウィーンの美術史家。

 芸術的意欲の時代。これは、現代アートをめぐる状況にもぴったり当てはまります。

 「芸術の最高の現実は、孤立した、完結した作品」。

 確かにその通り。

 しかし、それを創り出すのは至難の業。

 だからこそアートは面白いのです。

2009年8月18日(火)