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ポーラ美術館コレクション展 印象派とエコール・ド・パリ

[横浜展]

2010年7月2日(金)〜 9月4日(土)横浜美術館

[静岡展]

2010年10月2日(土)〜 11月28日(日)静岡市美術館

[名古屋展]

2010年12月7日(火)〜 2011年2月6日(日)名古屋市美術館

ポーラ美術館とは?

 2002年9月に箱根仙石原に開館したポーラ美術館。

 コレクションは、西洋絵画、日本の洋画や日本画、アールヌーヴォーのガラス工芸、東洋陶磁、化粧道具…と幅広く、所蔵作品数も約9500点とかなり豊富。
 西洋絵画関係では特に、印象派、エコール・ド・パリ、ピカソのコレクションが充実しているということです。

モネ《睡蓮の池》の画像
クロード・モネ 睡蓮の池
1899年 油彩 カンヴァス 88.6×91.9cm
ポーラ美術館
今回のポーラ美術館コレクション展にも出品されています。

 所蔵作品が約9500点ということですが、それがどの程度のものなのか。比較のため有名な国内ミュージアムの所蔵作品数を確認しておきましょう。
 東京国立博物館:約11万件、国立近代美術館:約1万点、国立西洋美術館:約4500点、今回展覧会場となっている横浜美術館は約9800点となっています。
 東京国立博物館には遠く及ばないものの、その他の美術館とは、ほぼ同等レベルであることがわかります。これは美術好きとしては、ちょっと見逃せないレベルです。

 もともと上記のような知識はあったので、このポーラ美術館には以前から、一度は訪れてみたいと思っていました。しかし、なかなかいい機会に恵まれず訪問できずにいたところ、そのポーラ美術館のコレクション展が、横浜美術館で開催されるというのですから、これを見逃す手はありません。

 そんなわけで、記者会見に行ってきました。

記者会見

 横浜美術館の逢坂館長によると本展は、「美術館のコレクションに焦点を当てた展覧会」だということです。もともと美術館の役目のひとつとして“価値のある美術品をコレクション”するというものがあります。今回はポーラ美術館のコレクションを企画展として取り上げることによって、その重要性を再認識するのが狙いであるということです。

 確かに日本の美術館では、せっかく優れた所蔵作品を持っているというのに、著名な芸術家のよく知られた作品を目玉にした企画展が盛況を極める一方で、常設展はガラガラという現象が目立ちます(一観覧者としては常設展をゆっくりじっくり楽しめるのでその方が都合がいいのですが……)。

 その点に関しては、常々残念なことだと感じていたので、逢坂館長の説明には大いに賛同できました。

写真:記者会見の様子
記者会見の様子

 続いて荒屋舗氏(ポーラ美術館館長)が、ポーラ美術館について説明。ポーラ美術館のコレクションの特徴は以下の3点だそうです。
 1.印象派からエコール・ド・パリ、現代美術へとつながる歴史をたどることができる。
 2.西洋絵画だけでなく、日本洋画、日本画とコレクションの幅が広がっている
 3.絵画だけでなく、ガラス工芸、東洋陶磁など工芸分野も幅広く収集している。

 展覧会カタログによると、約9500点におよぶ所蔵作品は、ポーラ・オルビスグループの前オーナーである故鈴木常司氏が40数年かけて蒐集した作品群だということです。巨大企業グループを経営しながら、9500点もの美術品を蒐集するとは……。忙しい忙しいと言うばかりで、何の成果も残せずにいる自分が恥ずかしくなります。

展示について

 展覧会は「1章:印象派」「2章:エコール・ド・パリとピカソ」の2章に分かれています。どちらの章でも私たちがよく知る画家の作品が次々に登場します。

ルノワールの《ムール貝採り》の画像
ピエール・オーギュスト・ルノワール ムール貝採り
1888-1889年頃 油彩 カンヴァス 56.0×46.4cm
ポーラ美術館
セザンヌの《ラム酒の瓶のある静物》の画像
ポール・セザンヌ ラム酒の瓶のある静物
1890年頃 油彩 カンヴァス 54.2×65.7cm
ポーラ美術館

 特に2章:エコール・ド・パリとピカソでは、10人のアーティストが取り上げられており、芸術の都パリでほぼ同時期に活躍したエコール・ド・パリの画家たちの豊かな個性を楽しむことができます。

 しかし本展では注意すべきことがあります。それは、おそらく多くの人がこの展覧会を見ても、ポーラ美術館のコレクションを十分堪能した気分にはならないだろうということです。

 まず、出品数が74点と少なめです。考え過ぎかもしれませんが、これは意図があってわざわざ少なく設定したものと思われます。
 それはそうですよね、横浜美術館でおおいに満足のいくポーラ美術館展を見せてしまったら、その人たちは箱根のポーラ美術館には足を運んではくれません。ポーラ美術館としては、それではまずいわけです。美術館の良さを十分に知っていただき、その上で「これは一度箱根までちゃんと見に行かなければいけないな」と思ってもらうのがベストです。

 そのための方法が、出品数を少なめに、そして展示分野を限定することだったわけです。同時にその措置は、横浜美術館にとってもメリットをもたらします。それは、ポーラ美術館展でお腹いっぱいになっていない人たちを横浜美術館の所蔵品を展示しているコレクション展へと、いままで以上に誘導できるということです。

 ポーラ美術館と横浜美術館。二つの美術館のコレクションをゆっくり堪能し、どちらの美術館にも再度足を運んでいただきたい、というのが本展主催者の願いでしょう。
(【注】当然、記者会見で主催者は上記のようなことを言っていません。したがって「しかし本展では注意すべきことがあります。」以降の文章は、筆者の勝手な憶測に過ぎません。念のため。)

 これから本展を見に行こうとお考えの方は、ポーラ美術館展+横浜美術館のコレクション展を見るつもりでご予定をお立てになることをお勧めします(観覧時間1時間半〜3時間程度)。そうすれば質・量ともに満足できるとお約束します。

 ちなみに筆者は、主催者側の罠にすっかりはまって、できるだけ早い機会にポーラ美術館に行こうと考えているところです。

2010年7月24日(土)
文責:NPO法人公共情報センター・福地敏治
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